女子マラソン元日本代表の原裕美子さんが、コンビニで化粧品や菓子類など計2700円相当の商品を万引きし、逮捕されました。トップレベルのマラソン選手として活躍していた人がどうしてここまで落ちてしまったのでしょうか。どうやら、万引きと原さんが患っていた摂食障害が大きく影響しているようなのです。
摂食障害だとなぜ万引き?
摂食障害で万引きを繰り返し、女子刑務所に入る人も少なくないそうです。実際に、女子刑務所内の少なくとも20人に1人が摂食障害だといいます。摂食障害の半数近くの人が万引きを経験したことがあるとのデータもあるそうですよ。もはや摂食障害の人にとって万引きは症状のひとつと言ってもいいかもしれませんね。
では、なぜ摂食障害になると万引きをしてしまうのでしょうか。
摂食障害の人は食べては吐いてを繰り返します。よって、身体はもちろん脳にも栄養は十分にいきわたりません。そこで、食べ物やお金などを貯め込んでおかないとどうしようもなく不安を感じてしまうようなのです。また、食べ物に執着するあまり、善悪の判断や我慢する力が衰えてしまいます。脳も、薬物乱用者やアルコール依存症患者のように、萎縮してしまっているのです。
摂食障害の人の万引きの仕方は特徴的で、盗るということに頭がいっぱいで、バレずに逃げるとうところまで考えられないのだそうです。
原裕美子さんも、レジのすぐ前の商品を盗ったり、防犯カメラや店員の目を全く気にしていなかったりと、典型的な摂食障害者の万引きの様子でした。
真面目な人ほど注意!摂食障害
原裕美子さんは、京セラに在籍していたとき(2000年~2005年)に摂食障害を発症していました。原さんは名古屋国際マラソン優勝、世界陸上入賞、大阪国際マラソン優勝など輝かしい成績を収めていますが、全て摂食障害を抱えての挑戦だったようです。
小出義雄監督によると原さんは「真面目で素直で練習熱心」だったといいます。それゆえ、周囲の期待に応えようと無理をしたり、自分を追い詰めてしまったのではないでしょうか。摂食障害の患者さんは、「食べていると安心する」「食べている間だけは嫌なことを忘れられる」とおっしゃいます。不真面目な人よりも、原さんのように真面目で努力家な女性の方が摂食障害になりやすいのです。
また、摂食障害で苦しんでいる女性アスリートは原さんだけではありません。フィギュアスケートの鈴木明子さんもその1人。
「ジャンプのために体重を減らしていくと調子が良くなった気がして、食べることが怖くなってしまった。食べても嘔吐してしまい、ひどい時には体重が30kgになってしまった。」と、テレビで語っていました。
摂食障害は命に関わる病気で、実際に亡くなってしまう人も大勢います。治療には精神的にかなりの苦痛と恐怖を伴い、平均でも7年もの年月を要します。摂食障害は、女性の10人に1人が経験したことがあると言われており、だれもがなる可能性のある恐ろしい病気なのです。
摂食障害の症状
・いつも食べ物のことを考えている
・ストレスを感じると過食したくなる
・食べたあと、自己嫌悪になり吐く
・BMIが16以下
・月経がない
・テンションが高い
・手足が冷たい
・髪が抜ける
・皮膚の乾燥
・むくみ
・産毛
・ふらつく
・骨粗鬆症
・心不全
摂食障害の症状は多岐にわたります。自傷行為、強迫性障害、PTSDなどの精神症状を合併することも多くなっています。
まとめ
ネットでは原さんが万引きした理由を、恋人と結婚式を挙げたのに籍を入れてもらえず
破談になったためだと噂されていましたが、本当の原因は摂食障害なのではないでしょうか。これは想像ですが、破談になった理由も摂食障害だった可能性も。原さんは、これから入院をして治療に専念する予定もあるようです。